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第481回 ダイエットの種類は減量の成否に影響しない
◆ダイエットの種類は減量の成否に影響しない
3大栄養素の摂取割合よりも総熱量の制限が重要

大西 淳子=医学ジャーナリスト

 近年、低炭水化物/高たんぱく質食、地中海ダイエットなど、様々な食事療法の有効性が検討されている。しかし、米国Harvard公衆衛生大学院のFrank M. Sacks氏らが行った2年間の無作為化試験の結果、
食事を構成する3大栄養素の割合がどうであれ、摂取熱量が同じであれば減量効果は同じであり、心血管危険因子や糖尿病危険因子の改善レベルにも差はないことが明らかになった。詳細は、NEJM誌2009年2月26日号に報告された。

 これまで、低炭水化物/高たんぱく質食、高炭水化物/低脂肪食、超高炭水化物/超低脂肪ベジタリアン食や地中海ダイエットなど、様々な食事療法の有効性が比較されてきた。しかし、過体重や肥満の成人の減量において、どれが最も有効な食事療法なのかは明らかではなかった。

 また、こうした食事療法を比較した試験で継続期間が1年を超えた研究はほとんどなかった。通常、減量の効果は食事療法開始から6~12カ月で最大になり、その後、体重は緩やかに上昇する。したがって、1年を超えて効果を比較する必要があると著者らは考えた。

 そこでSacks氏らは、3大栄養素、すなわち、脂質、たんぱく質、炭水化物のいずれかに焦点を当てた食事療法の効果を比較する大規模かつ長期的な研究を行うことにした。対象は、年齢、所得、居住地域などは異なるが、体重を減らしたいと熱望する人々、とした。

 2004年10月から07年12月にHarvard大学公衆衛生大学院/Brigham and Women's
HospitalとLouisiana州立大学システムのPennington Biomedical Research Centerで、BMIが25~40の30~70歳の男女を登録した。

 811人(51±9歳、男性が36%)の過体重または肥満の成人を4等分し、無作為に以下の食事療法のいずれかに割り付けた:脂質、たんぱく質、炭水化物に由来するエネルギーの摂取比率がそれぞれ20%、15%、65%(低脂肪/標準たんぱく食)、20%、25%、55%(低脂肪/高たんぱく食)、40%、15%、45%(高脂肪/標準たんぱく食)、40%、25%、35%(高脂肪/高たんぱく食)。

 参加者とそれらの人々を担当する医療者については盲検を維持した。

 3大栄養素以外の摂取量については、米心臓協会(AHA)栄養委員会の食事とライフスタイルに関する勧告(2006年改訂版)に従い、飽和脂肪は8%未満、食物繊維は20g/日以上、コレステロール摂取は1000kcal当たり150mgなどを目標とした。

 1日の摂取熱量は、本人の安静時エネルギー消費量と身体活動レベルに基づいて計算したベースラインの必要量より750kcal低い値に設定。含まれる食品の種類はどのグループも同じになるよう調整し、推奨される献立を2週間に1回患者に配布した。

 参加者は2年間、構造化されたセッションを受けた。グループセッションは、当初6カ月間に18回、ほぼ定期的に行った。6カ月以降2年目までは2週間に1回の頻度で実施した。個人セッションは8週おきに実施。

 参加者にはウェブベースの食事記録をつけるよう依頼した。使用された食事記録ソフトは、割り付けられた食事内容になっているかどうかを参加者本人が確認できるようになっていた。

 なお、身体活動の目標も設定。中等度の運動を1週間に90分行うことを推奨した。

 体重と腹囲はベースラインと6カ月後、12カ月後、18カ月後、2年後に測定。また、ベースライン、6カ月後、2年後に、満腹感、空腹感、食行動、食事に対する満足度などを質問票を用いて調べた。同様のタイミングで、血液標本も採取した。

 主要アウトカム評価指標は、2年後の体重変化とし、分析はintention-to-treatで行った。途中で脱落した参加者については、12カ月以降の体重増加は0.3kg/月などの推定を用いて不足しているデータを補完した。

 低脂肪食と高脂肪食、標準たんぱく質摂取食と高たんぱく食については2×2
factorial designで比較。炭水化物の摂取量が最高(65%)のグループと最低(35%)のグループの比較も行った。

 参加者たちが実際に摂取した栄養素と総熱量は目標に達していなかった。6カ月時と2年時の自己申告による摂取状況は下記の通り(1日の総熱量、脂肪、たんぱく質、炭水化物)。
 低脂肪/標準たんぱく食群:1636kcal、26.2%、17.6%、57.5%(6カ月時)/1531kcal、26.5%、19.6%、53.2%(2年時)
 低脂肪/高たんぱく質食群:1572kacl、25.9%、21.8%、53.4%(6カ月時)/1560kcal、28.4%、20.8%、51.3%(2年時)
 高脂肪/標準たんぱく食群:1607kcal、33.9%、18.4%、49.1%(6カ月時)/1521kcal、33.3%、19.6%、48.6%(2年時)
 高脂肪/高たんぱく食群:1624kcal、34.3%、22.6%、43%(6カ月時)/1413kcal、35.1%、21.2%、42.9%(2年時)

 摂取熱量と共に運動量も、4群間に差はなかった。

 6カ月の時点で、4群の参加者の体重は平均6kg減少。これはベースラインから7%減少を意味する。しかし12カ月を過ぎると、体重は増加し始めた。だが、2年後まで体重減少が継続した参加者が185人(23%)存在し、それらの人々では、3.6kg余分に体重が減少、ベースラインからの体重減少の合計は9.3kgになっていた。

 2年の時点でベースラインに比べて5%以上体重が減少した参加者は、各グループに31~37%見られた。10%以上の減少を経験した参加者も14~15%存在していた。2~4%は20kg以上の減少を達成した。これらの減量達成者の割合は、どの割り付け群でも同様だった(すべてp>0.20)。

 試験を完了した645人(80%)の参加者の体重減少の平均は4kgだった。

 主要アウトカム評価が行われた2年後の時点で、たんぱく質が25%のグループと15%のグループの間の体重減少レベルは同様だった。それぞれ3.6kgと3.0kgで差は-0.6(95%信頼区間-1.6から0.4、p=0.22)。脱落者を除いて試験完了者のみについて比較すると4.5kgと3.6kgで差は-0.9(-2.1から0.2、p=0.11)。

 脂質が40%のグループと20%のグループでも同様(いずれも3.3kg、p=0.94)。試験を完了した参加者のみでも差は有意ではなかった(3.9kgと4.1kg、-1.0から1.3、p=0.76)。

 炭水化物65%のグループと35%のグループにも差はなかった(2.9kgと3.4kg、差は0.6(-0.8から1.9、p=0.42)。試験完了者のみでもp=0.37で差なし。

 体重と同様に腹囲についても比較したが、すべての比較において差は有意でなかった。


 体重と腹囲が測定されたすべての時点で、4グループの間の差は、体重が0.5kg未満、腹囲は0.5cm未満に納まった。

 次に、心血管危険因子と糖尿病危険因子の変化を調べたところ、すべてのグループで、6カ月後、2年後ともにこれら危険因子が改善していた。

 低脂肪食または最高炭水化物食をとっていたグループでは、高脂肪食または最低炭水化物食のグループに比べて、2年時のLDL-c値の低下が有意に大きかった。低脂肪食群がベースラインに比べ5%低下、高脂肪食群では1%低下(p=0.001)、最高炭水化物群は6%低下、最低炭水化物群は1%低下(p=0.01)。

 最高炭水化物食に比べ最低炭水化物食ではHDL-c値が有意に上昇していた(それぞれ6%と9%、p=0.02)。

 すべてのグループでトリグリセリド値は低下(12~17%でグループ間に差なし)。

 最高炭水化物食を除く3グループで、空腹時血清インスリン値は6~12%低下した。高たんぱく食群では標準たんぱく食群に比べて低下幅が大きかったが、差は有意でなかった(10%と4%、p=0.07)。

 血圧はベースラインから1~2mmHg低下し、グループ間に差はなかった(p>0.59)。

 以上はintention-to-treat分析の結果で、実際に試験を完了した患者のみを対象に評価すると、改善幅は30~40%縮小した。

 満腹感、空腹感、食事に対する満足度、グループセッションへの出席率はすべてのグループで同等だった。

 セッションへの参加はどのグループにおいても体重減少と強力に関係していた(1回参加につき0.2kg減少)。

 得られた結果は、摂取熱量を減らす食事療法は、どの栄養素に焦点を当てるかにかかわらず、臨床的に意味のある体重減少をもたらすことを示した。したがって、患者の好みに合わせて食事内容を決めることにより、食事療法の長期継続を目指すことが重要と考えられた。

 著者らは、今回の試験の結果は、個々の肥満患者への減量指導や、公衆衛生担当者が一般市民に対して行う減量指導にそのまま適用できる、と述べている。

 原題は「Comparison of Weight-Loss Diets with Different Compositions of
Fat, Protein, and Carbohydrates」。

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[2009/03/27 08:33 ] | ダイエット | コメント(0) | トラックバック(0)
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